ピーター・ティールはリーンスタートアップに懐疑的。発言まとめ

Y Combinatorの「How to Start a Startup」というYouTubeに上がっている、スタンフォード大学で行われたスタートアップ講義動画でピーター・ティールが出ていて(ここからゼロ・トゥ・ワンの本が生まれた)、彼の講義最後の質問タイムが面白かったのでまとめます。

 講義動画URLはこちら

youtu.be

 

 

 

---引用開始---

 

リーンスタートアップについて、Feedbackループを繰り返してリスクを減らして改善していくやり方についてどう思うか?

 

 

I'm personally quite skeptical of all the lean startup methodology.

私は、リーンスタートアップの手法の全てに対して、個人的にはかなり懐疑的です。

 

 I think the really great companies did something that was somewhat more of a quantum improvement that really differentiated them from everybody else.

偉大な企業というのは、他の全ての企業とは全く違う飛躍的な改善を行ったものだと思っています。

 

They typically did not do massive customer surveys, the people who ran these companies sometimes, not always, suffered from mild forms of Aspergers, so they were not actually that influenced, not that easily deterred, by what other people told them to do.

彼らは典型的に、顧客調査を行わずに、経営していることもしばしばで、全てではないが、軽度のアスペルガーに苦しんでいる人も多かった。

だから彼らは何かに影響されたというのは実際なかったのではないか。誰かにこうしろと言われたからといっても、そう簡単には。

 

I do think we're way too focused on iteration as a modality and not enough on trying to have a virtual ESP link with the public and figuring it out ourselves.

私達はモダリティとしての反復(イテレーション)に集中しすぎたと強く思っています。

(ESPが何を指すのか分からないので翻訳無視しているが、おそらくスタートアップピッチイベントのようなものっぽい。ESPで公の場に出て、聴衆の反応をみるなんておかしい、と言っているっぽい。たぶん。)

 

I would say the risk question is always a very tricky one, because it's often the case that you don't have enough time to really mitigate risk.

リスクの質問というのは、とても難しい。だって、リスクを軽減するのに十分な時間なんて無いのが普通でしょう。

 

If you're going to take enough time to figure out what people want, you often will have missed the boat by then.

もし顧客が何を欲しがっているのか知りたくて、そのために多くの時間が取っていたら、それが分かる時にはそのボート(つまり顧客が何を欲しがっているのか)を逃してしまうでしょう。

 

And then of course there is always the risk of doing something that's not that significant or meaningful.

もちろん、重要だったり意味のあるものではない事を行ってしまうリスクは常にありますよ。

 

You could say that a track in law school is a low risk track from one perspective, but it may still be a very high risk track in the sense that maybe you have a high risk of not doing something meaningful with your life.

ロースクールに行くことはリスクが低い、と考える人もいるでしょう。

でも、あなたの人生に意味のあることが出来ないことがリスクだと考えれば、ロースクールに行くことはとてもリスクの高いことなのかもしれません。

 

We have to think about risk in these very complicated ways. I think risk is this complicated concept.

リスクというのがとても複雑な意味がからみあっていることを考えなければいけません。私はリスクは複雑な概念だと思っています。

 

---引用終わり---

 

要するに、ピーター・ティール的には

  • 客にインタビューして改善して、なんてやってたら時間なくなるでしょ。
  • 偉大な企業作った人には軽度のアスペルガーっぽい人が多い。そんな人は他人の話は聞かないし、こうしろと言われても無視する。そういう会社が成功しているのだ
  • リスクを減らすことは大切だが、そんなことをしている時間がない、という矛盾がある。だから明確な回答も難しい。

といった感じのようだ。

 

難しいところで、たしかにピーター・ティールの言っていることもわかります。そんな時間あるのかなみたいな。

事業内容にもよるし、創業者にもよるところがありそうなので、やはり答えはない。

 

スタートアップを作るためのバイブルのように神格化されている一面も感じる。

これに関して、とても面白い記事も見つけたので、ぜひ見てみていただきたい。2年前にバズった記事のよう。「ゼロ・トゥ・ワン」でリーンスタートアップへの反論が詳しく書かれているようなので、私も再読したい。

fromdusktildawn.hatenablog.com